技術とデータが進歩するスポーツ業界
現代のスポーツはVARなどに代表されるように、技術の進歩や高度なデータ分析の普及によって、選手のプレースタイルや指揮官の采配が変わりつつあります。
今回はそんな現代のスポーツの在り方について肯定的な立場、懐疑的な立場の主張をそれぞれ見ていきましょう。
VARによる正確なジャッジはスポーツを面白くしたのか?

VARの導入により公平性が増したことで疑惑の判定によるモヤモヤがなくなり、スポーツはより一層と面白くなったと思います。
やはり公平性が向上すれば、選手たちも正々堂々と競える環境になりますし、見ている方も楽しめると思います。

公正さは重要ですが、正確性を追求するあまり試合の中断が多くなりテンポが悪いと感じることがあるのも事実です。
実際にプレーしていた選手からも試合が長時間中断されることによる批判も出ています。
人が行うゲームである以上不確実さは受け入れ、テンポをよくした方がゲームとして面白くなるんじゃないかなと思います。
The economistのデータを見るとワールカップでは、VARを導入してから誤審率が7%から1.1%に減少したと言われています。 (出典:https://www.economist.com/graphic-detail/2018/06/25/var-increases-refereeing-accuracy-but-not-the-total-penalty-count)
試合を中断されたことから元イングランド代表フォワードのアラン・シアラー氏は「VARは馬鹿げている、とはっきり言っておきたい」と否定的な意見を述べています。

VARによる試合中断時間は試合全体の約1%であり、セットプレーによる中断時間の28%と比較してもその影響は少ないと言えます。
さらに、今の時代は観客の誰もがスマホを持っていて、あらゆる角度から試合が録画・撮影されているのです。
そんな中で決定的な誤審が起きた時、審判の方はどれだけ叩かれるのでしょうか?
審判を守るという意味でもVARは現代スポーツになくてはならないと思います。

うーん、確かに審判を守るという視点はその通りかもしれません。
ただ、「VARによって試合が長引いているわけではない」という点についてですが、実際の中断時間とプレイヤーや観客の体感は一致するわけではありません。
重要なのは実際の長さではなく、その時間にストレスを感じるかどうかです。
人間が行い、人間が観るエンタメである以上、正確さよりも感覚的な満足感というのも重要であると思います。
データと創造性

最近のスポーツでは、確率やデータに基づいたプレーが重視されすぎて、選手個人の直感や個人技が軽視されているのも気になります。
メジャーリーグのフライボール革命のように状況や相手に関わらず、長打やホームランになる確率の高さから誰もがフライを狙うという作戦は選手の個性を消してしまっている気がします。

確率的に成功しやすいプレーを選ぶのは当然だと思います。
チームとして勝つことが最優先です。
直感や創造性も失われるわけではありません。
データに基づいた戦略の中でも個性を活かせる場面はあり、本当のスターであればどのような環境でも輝くことができるはずです。

バスケットボールで言えば、3ポイントシュートをたくさん打つのが統計的には最も効率的だとわかっています。
ただ、全員がそればかり狙うのを見ていて面白いですか?
巧みなドリブルや見事なミドルシュートも、観客を「魅力するプレーの一部だと思うし、公立的なプレーしかしなくなったら面白みが薄れてしまいます。

観客の期待に応えるための個性的なプレーも大切だとは思います。
ただ、最もファンを熱狂させのはチームの勝利であることは事実です。
なんだか、データを生かした効率的な作戦への批判や面白さへの言及は勝てないことへの予防線や言い訳に見えてしまいます。
スポーツの面白さはどこに?

スポーツの面白さは、やっぱり勝敗が決まる瞬間にあると思います。
応援しているチームが勝った瞬間は何よりも嬉しいはずです。
そのためにチームや選手たちは進化した技術やデータを最大限利用しているのです。
その瞬間における最も論理的なプレーを選手が理解し、それを目指すことこそ勝利に最も近づく方法なのです。
勝つことが求められている以上、統計的に勝ちに繋がる確率の高いプレーをすることこそ、最もファンを喜ばせる選択だと考えます。

僕は、予測不能な展開や予想もしなかったプレーが生みだすドラマもスポーツの魅力だと思います。
非効率なプレーであったとしても全力で行ったプレーは心を動かします。
確率的には間違った選択だとしても、その瞬間だけは正解になることもあります。
勝データ通りの正しい行動を追い求めることがスポーツではないはずです。
努力で身につけた技術や身体能力を各選手なり考えや直感で生かす姿こそ面白い試合には必要だと考えます。
筆者の考え
2人のやり取りを見てどう感じましたか?
勝利を目指し、作業のようにひたすら効率的なプレーをすることが正しいのでしょうか?
個性だからとデータを使った学習をせず、感覚頼りの自分本位なプレーすることが正しいのでしょうか?
あえて強めの表現をしましたが、筆者としてはデータも感覚もバランスが大事かなと考えています。
とはいえ、これでは答えになっていないので
どちらかといえばデータや技術を軸にした考え方には反対です。
なぜなら、その道のプロだからこそ感じる、その日、その瞬間の感覚を大切にしてほしいからです。
パスをするのか、ドリブルをするのか、シュートを打つのか
これらの選択をする際に、「このシチュエーションで最も確率が高いのは…」と考えるのではなく
「今日は入る気がした」くらいの気持ちでのびのびとプレーする姿をこれからも見せてほしいと思います。
さて、皆さんはこのテーマについてどのように考えますか?
コメントで教えてくださいね。
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